得庵

野村徳七(号・得庵)、野村証券の創業者であり一大金融財閥を築き、茶の湯と能を嗜む近代数寄者のひとりだった。その得庵が蒐集した膨大な美術品は野村美術館に納まっている。美術館では展覧会の他、各種講座が開かれている。10年以上前になるが年6回講座というのを受けたことがある。講師は超一流の方ばかり、特に数寄屋作りの棟梁中村義明さんの話は面白かった、棟梁の話しぶりが今でも蘇ってくる。その数寄者得庵の手作り灰匙が茶会の床に飾ってあった。陶器の手びねりで、歌が刻んである。「すくいたまへ まきたまへ こころのちりをおさへたまへ」