嬉しい話

日経夕刊に哲学者小林康夫さんのコラムをたまたま読む機会があった。テレビ出演もあるので、ご存じの人も多いだろう。コロナ禍でほっとしたので以下にご紹介する。

昨年緊急事態宣言が出た時に思いついて、抹茶一服を朝の「礼」とすることにした。非常だからこそ、もっとも日常的な所作が「礼」として香りたってもいいではないか。わたしは茶道をならったことはない。にもかかわらず50歳をすぎてから「茶」にめざめた。東京大学の国際哲学研究センターのリーダーとして、外国からやって来る最高度に知的な人たちに日本文化のエッセンスを、一瞬にして身体でつかんでもらおうとした時に、「茶」ほど有効な仕掛けはなかった。友人たちの協力を得て、「茶」の場に迎え入れた外国人は、文学者も芸術家も深く感動してくれた。一碗「茶」をいただくだけなのに、そこに立ちのぼる共鳴の響きがたしかにあった。・・・・・まだ続きがあるが、茶道に携わるものとして何とも嬉しい想いに浸れた。

IMG_8220.JPG