中島千波

仕事の帰りに寄った美術館に入ると、ちょうど学芸員が解説しているところでグッドタイミング。入口に院展初出品初入選の作「窓」、特徴は窓の廻りの板目の壁と窓内に浮かぶ薄い木調。作品のとなりに下絵があり、こちらは画のほとんどが強調された木目だった。若い作者は日本画の世界にシュールレアリスムを表現しようと思っていたが、当時院展審査員だった父清之に、もうちょっと抑えた作品にと意見され下絵よりおとなしい作品になったという。やはり学芸員の話を聞きながら鑑賞すると面白い。

 

人間の内面を描いた人間シリーズなどは、解説を聞いていて頷くばかりである。「桜の千波」とよばれる作者であるが、樹齢千年単位の古木を描いた作品は肖像画と紹介され、風雪に耐えた幹の表現に魅入られた。

 


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