河鍋暁斎
幕末明治に「画鬼」と称され絶大な人気を博した絵師、国外でも高く評価されている。一昨年の東京展は大盛況だったようだ。わが町の美術館で開かれたので覗いてきた。混んでるかなと思いきや空いていて自由に歩き回って鑑賞できた。
伝統絵画も描いているがほとんど世相を鋭く批判した戯画・狂画や、妖怪画。そういう訳でお茶席にはまず縁がないだろう。余程、特別な企画に合えば面白いかも。今回の目玉は当時の人気歌舞伎役者だった9代目市川団十郎、5代目尾上菊五郎らを妖怪に見立て、大酒をあおりながら4時間で描き上げたという大作。なんと幅17メートル縦4メートルもある。小さな美術館の壁一面を独占していたが見ている方も度肝を抜かれた。面白いのだが緊張感も覚えるのは特異な才能の所以だろうか。この一枚のお陰で作品数は当然少ないのだが、地方で見られたのはラッキーだろう。