思い出
お茶事に招かれて、そのおもてなしがずっと心に残っているということがあると思う。そしていつか「お返しのお招き」をして差し上げたいと思いつつ時が移ろっていく。私がその最初のお招きをした方と親交があるということで、一大決心のお茶事に同席させていただいた。席中、今までの人生で一番心に残ったお茶事だったと私の友人に心境を吐露された。今出来る限りのおもてなしをしたいという意気込みがひしひしと伝わってきた。すでに御歳を召し、膝、腰を痛めて満身創痍であったが、今を逃したらもう二度と・・・という想いがあったように見受けられた。お薄が終わり茶道口で一礼なさった時、あぁーと囁かれた一言が全てを物語っていると感じた。心に残る茶事であった。