宮尾ワールド

宮尾登美子「一絃の琴」。17年の歳月をかけて完成させたという力作、本人自ら土佐から琴を運んで来て、独学で弾けるようになったとあとがきに記している。なるほど明治時代の女性の情念、凄味のある生き様に参りました。これが宮尾ワールドと言われているものなのだと納得。続いて「松風の家」「蔵」と一気に読んだ。「松風の家」は茶道をしている人には知られていると思う。明治維新、茶道を取り巻く逆風にさらされて、家元が窮乏に陥るが徐々に立ち直っていく物語。やはり女性の力の大きさが語られている。明治時代の茶の湯がどういうものだったのか非常に勉強になる。


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