良弁椿

 東大寺のお水取りにまつる良弁椿(ろうべんつばき)というお菓子をいただいた方はおられると思う。東大寺初代別当の良弁僧正の像を祭った開山堂のそばに生えている古木の椿が良弁椿と呼ばれている。今回3月の茶会ということで修二会にちなむ床の設えで目を楽しませていただいた。

 画像は練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる11人の僧によって作られた造花で、実際に十一面観音の前に供えられ松明の火によって焦げていた。造り方は凝っていて「修二会 椿 色」で検索すると詳しく解説してある。造花を盛った籠は華籠(けご)と呼ばれるもので、仏像や堂塔の供養のために使われる。これは何と150年以上前のものであった。

 お水取りは毎年大変な人出でおいそれとは行けないが、お茶会でこのように楽しめれば気分だけでもその気になれる。