芋名月
夕方に昇ってくる月は赤味を帯び、一際大きく、うっすらと雲も掛かって実に格好がよい。昇るにつれ徐々に小さくなり、雲が切れ輝きを増していく。お月見の野点席で毎年眺めさせていただいては、同じように繰り返されるこの変化を肴にお茶をいただいている。ところでBSプレミアムたけしビートアート人間国宝室瀬和美を見た。見惚れてしまう作品の美しさであるが、一つの作品に3年掛けているというのを聞くとびっくりである。下地だけで数十工程かかる根気のいる仕事、JYAPAN=漆器というのが頷ける。室瀬さんは独特の感覚があり今後ますますの活躍を期待したい。番組のなかで漆筆を作る職人さんが2~3人、毛の材料となる熊ねずみを獲る人もほとんどいないと言っていた。こんな話を聞くと茶道具に携わる人間として絶望感に襲われてしまう。この先いったいどうなるのだろう。