老師

 世間一般では年老いたお坊さんのことを老師と呼んでいる。しかしこと禅宗の世界に限れば老師と呼ばれる僧はそんなに多くはない。

 老師とは禅宗寺院で印可状を持っている僧のことで、印可状とは修行が終わったという印のこと。臨済宗の本山は全国に14ヶ寺あり本山の管長はもちろん老師であり、僧堂の責任者とでもいう僧堂師家も老師になる。老師から印可状を受けて初めて老師になる訳で、言わば師匠と弟子の間だけに取り交わされるもので公にされることはない。一般に老師以外で印可状を目にすることはできないことになる。

 通常、管長と師家の二人だけが老師。大徳寺は現在、高田明浦管長が僧堂師家を兼務しているので老師は一人だけになる。妙心寺は例外で規模が大きく専門道場も全国にたくさんあるので老師の数も二人以上になる。